当事務所では、マンション管理組合を法人化する登記手続きや管理組合法人の変更登記手続を承っております。
以下、マンション管理組合の法人化のメリットとデメリットをご説明します。
法人化により、理事長個人の財産との切り分けがはっきりできます。法人化をしていないと、将来理事長に相続が発生したり、理事長個人の債務の返済が滞った場合に、組合財産が理事長個人の財産として扱われ、相続や差押えの対象にされてしまう恐れがあります。
法人化していない管理組合が規約共用部分以外の不動産(駐車場や管理員室等)を所有する場合、理事長個人名義で登記しなければなりません。そして、理事長が交代する度に所有権移転登記をする必要があるため、定期的に手間と費用が発生してしまいます。
≪管理組合を法人化すると≫
管理組合法人が所有者として登記簿に明記されますので、権利関係が明確になります。理事長の交代による不動産登記の手間と費用も発生しません。
銀行口座は、「○○マンション管理組合 理事長 ××」というような個人名義の口座にならざるを得ず、その理事長の個人印を届出印としているのが一般的です。
≪管理組合を法人化すると≫
管理組合法人名義で保有できますので、管理組合の財産と、理事長個人の財産との区別が明確になります。
管理費滞納、規約違反の差止、立退交渉等、管理組合と住民側とのトラブル・衝突は、常に起こりえます。
法人化することで、調停や訴訟等の法的措置の実行がよりスムーズにできるようになります。また、訴訟継続中に理事長が交代することにより、訴訟手続きが煩雑になったり訴訟中断の事態を避けることができます。
法人化により、理事長個人が矢面に立たたずに済むことで、理事長個人の精神的負担を軽減することができます。
法人化により、管理組合組織としての存在とその代表者名が法人の登記簿により明確にされますので、管理会社や工事業者などの第三者は、安心して管理組合と取引することができ、取引の円滑化が図れます。
大規模修繕工事等で金融機関から借入をする場合は、法人格を備えていた方が、信用力が増し、融資を受けやすくなる可能性があります。
1.法人登記事務の手間と経費の増加
管理組合法人となることによって、法人の登記事項に変更が生じる(主に理事長が変更する)度ごとに登記手続きをしなければなりませんので、登記手続の手間と費用がかかることになります。
※理事長が再任する場合でも、任期満了のたびに役員の変更登記手続きが必要です。
管理組合法人は、区分所有法第47条13項において、法人税法別表二の公益法人とみなされていますので、法人税法上の収益事業(管理費・修繕積立金の徴収や区分所有者に対する駐車場使用料は収益に該当しません)を行っていなければ、法人税は課税されません。